エクスペリエンス

管理人が気に入っているゲームやら書籍について徒然と語っていく予定。まあ、一応他所と差異をつけられるようにしたいなぁ、と。独断と偏見がエッセンス。

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地球防衛軍~THE・SIMPLE~

一話
あの日の夢を見ていた。
誰もが生き残る事を自らの意思で捨て去り、代わりに己が誇りと僅かな意地を通すことを選んだあの日を。
一年前までは日本の中枢として人と車の群れを擁した新宿。
が、かつては息苦しささえ憶えたビル郡も今はことごとく崩れ去り、瓦礫の合間をインベーダーの手先となった巨大な蟻どもが闊歩し、その頭上を一昔前のSFみたいなデザインのUFOと歩行戦車が進む。
戦況は絶望的だった。
俺達は、都市の各地に分散配置した部隊を段階的に後退させながら相手の出血を強いて行った。地下鉄にバリケードを築き、マンホールに忍び、崩れた建材の合間から攻撃を続ける。
蟻どもは一度斥候が通った場所以外に大挙して押し寄せてくる事は無い。
UFOは攻撃する際に必ず停止する。
戦車は火力、装甲共に高い難敵だが、脚部を高威力のスナイパーライフルで射抜けば無力化できる。
一年間の戦いで得た教訓を全て投入した。だからこそ、ここまで戦力を温存できたのだ。
夜間。
夜、特に気温が低い日は蟻どもにとってはデカクとも厳しい環境らしく、活動することは稀である。他のメカどもも歩調を合わせる気らしく、夜明けまでは時間があった。
その間にできるだけの準備をする。それが生き残るための算段ではないことは、体中を苛む痛みよりずっと辛かったことを今でもはっきりと憶えている。
銃を分解整備している時にあいつは話しかけてきた。いつものよう通り、肩に愛用のスナイパーライフルを担いでいる。お互いにここまで生き残ったことを茶化し、そして・・・・・・。

「山城さん!あと一時間程で到着ですよ!」
目が覚めた。
俺はイギリスで開かれるEDFの式典に出席するために小型輸送機で移動中だった。
半覚醒状態の頭でそれを思い出すと、操縦席の相川の所に行く。一見優男に見えるこいつだが、2年前のインベーダー侵略当初から終戦までを生き残った猛者の一人だ。
「おはようございます。あと一時間程で到着になりますよ。」
「なんで着いてから起こさないんだ?俺は寝られるときに寝ておくといつも言ってんだろうが?」
「日本からこちら、あれだけ寝てもまだ寝足りないんですか?経由地のインドでもホテルに篭りっきりでしたし。それに、向こうに着く頃には身支度を整えておかないと。マスコミも来てるでしょうからね。」
「知ったこっちゃないよ。俺は出ろっつわれたから出るだけなんだから。大体なんで俺が担ぎ出されるんだ?」
「イギリスさんの印象を良くするためですよ。先の大戦でマザーシップを沈めた英雄が来れば、技術提供の話も少しは優位に進められると思っているんでしょう。お偉いさん方は。」
大戦後、生き残った先進国は大戦前とは比較にならない程の技術力を手にした。インベーダー共の技術を盗んだというのもあるが、人類全体が持てる意思の殆どを開発・製造の二点に集中させたことも大きな理由だろう。
中でも日本は、地勢上の点からか地球上に出現した全ての兵種が出現し、最終的にはマザーシップの残骸から数多くのテクノロジーを手にしたことから頭一つ分他国に比べて発展を遂げている。
大戦直後は各国とも自国の再建に余念が無かったが、多少余裕が出てきて隣の芝が青い事に気づいたらしい。あの大戦は世界中が共に戦ったのだから、日本だけが恩恵を受けるべきではなく、インベーダーから得た知識と技術は全ての地球市民(変な表現だが、EDF結成後はこの呼び方が定着してしまった)に帰依するべきことだ!とイギリスさんは言い出してきたのだ。
もっとも、それを第三世界に渡す気は無いのだろうが。EUやかつてのアメリカが残っていたらどうなっていたのやら。
そんなわけで、戦後ヨーロッパで最大の国となったイギリスさんでEDFの式典がもたれたわけだ。会談のついでに。
「んじゃ、ようするに俺はパンダなわけだ。パンダは笹食って寝るのが仕事。ってなわけでもうひと眠り・・・。」
「駄目です!ヒースローはもうすぐなん・・・」
けたたましい警報音が鳴る。この音を聞くのは五年ぶりだ。
信じられないといった顔のままで相川が無線を取る。
「・・・ロンドン市内、キングズクロス駅の地下より大量の巨大生物が現れました。山城隊員は本機より降下し、現地のEDFと合流、防衛任務に付いてください。」
二年か。長いやら短いやら。侵略軍の中に、ありんこ共以外に生物が確認できなかったことなどから、いつかはこうなる事も予想されてはいたが。
「装備は?」
「僕の後ろの辺りに転がってるはずです。」
言われた場所を探ってみると出てきたのはAS-21アサルトライフルに・・ペイルウィング用のレイピア・レーザー発信機?
「おい、なんでこんなもんがあるんだ!ジェネレーターがなけりゃ使えないだろ!大体、降下しようにもパラシュートが無いぞ。俺にビックベンに飛び移れとでも言う気か!?」
一応AS-21の点検もしておく。うん、旧式とはいえ整備はされている。
「あ~、それはですね」
なにやら困った顔で後ろの方をちらちらと見ている。
怪訝に思い、後ろを振り向く・・・間もなく何者かに首根っこを掴まれた!
この機には俺と相川の他に誰も乗っていないはずなのに、だ。
俺の襟首を掴んだソイツは機体の扉を緊急開放すると、いつの間にか手にしたレイピアと共に暴風の吹き荒れる機外に躍り出た。
「#に%&‘んだ!の」
激しい風を感じた次の瞬間に俺は空中に居た。暖房の効いた機内から急に寒い機外に連れ出されたため、呼吸が整わず、喉や肺が酸素を受け付けない。おまけにまだ首根っこを掴まれているため、なおさらだ。
「私に捕まって。制動をかけるから片手じゃ支えられないわよ!」
わよ?
疑問に思ったが、とりあえずソイツの前から両肩に掴まる。・・・胸があたる。
俺がしっかり掴まったのを確認するとソイツ・・・彼女は後ろに背負っていたバックパックからウィングを展開し、制動をかける。
気がつくと、少し下に町並みが見えた。機は降下体勢に入っていたので既にそう高度は高くない。
かなりのGがかかり、落下速度を和らげる。が、まだ結構なスピードで降下しているようだ。ロンドンには高層建築物が周りに無く、比較できないのでいまいち自身が無いが。
「なあ、このままじゃ骨折くらいは免れないんじゃないか?」
彼女、EDFの式典用女性仕官服に身を包み、鳥のクチバシみたいなデザインのヘルメットを付けた女に一応尋ねてみる。
「ええ、元々ペイルウィング(こいつ)は一人用だしね。だからこうするの。」
唯一露出した口元を微笑ませると、彼女は俺の持っていた(我ながらこの状況でよく手放さなかったもんだ)AS-21を取り上げると、俺を眼下のテムズ川に叩き落とした!
「なにすんじゃボケェェェェェェ!」
ドップラー効果を友に落下。着水。
空の旅と水泳で完全に冷え切った体で必死の思いをして岸に上がると、女が缶コーヒーを片手に待っていた。
「遅い。デートで女性を待たせるのは良くないなあ」
「いやぁ失礼。ちょっと夏まで待ちきれなくて水泳をね。少し君の肌で暖め・・・」
ホットコーヒーの缶とAS-21が飛んできた。缶の方は全力投球に近い。冷えて強張った体は反応が間に合わず、顔面を直撃する。
「いいからさっさと飲んで。3分以内にアリ共がここまで到達するわよ。ここの橋を私達が抑えなければ沢山の人たちが死ぬ。」
女は冷たく言い放つと、近くの建物の屋上飛んで行き陣取り、押し寄せる巨大生物の群れを睨む。
「やれやれ・・・たった二人でアーマーも無しに、か。」
コーヒーを飲みながら、女を観察してみる。
声から判断するに、思ったより若いようだ。体格は小さめ。あのバックパックと手にしているレイピアは、最近創設された特殊部隊・ペイルウィングのものだろう。礼服にあのバイザーはかなり異様ではあるが、彼女は意に介する様子も無く、動きやすいよう服の各所を折り詰めている。
格好は変で正体不明、いきなり随分な目に合わされたが、あの行動力と思い切りの良さは気に入った。共に戦うには悪くない相手だ。
俺はそう考えると、コーヒーを飲み干し、無人となった店のショーウィンドウからトレーナーとズボンを拝借すると着替える。ついでにカフェテラスにあった飲みかけの紅茶も頂戴する。
手を万力のようにゆっくりと固め、また開く。かじかんではいるが、それだけだ。

良し、戦うとしよう。
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  1. 2005/12/24(土) 21:35:34|
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